現役留学生コラム Vol. 107
留学したらどんな生活?このコーナーでは、実際に留学中の学生からの生の声をお届けします!
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大橋 司さん
日本で理学療法士として働いた後に、NATAアスレティックトレーナー資格取得を目指して留学中
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<オブザベーションアワー>
私は、現在Orange Coast College にて、アスレチックトレーニングプログラムを専攻し、大学院出願に向け、事前履修科目の履修、オブザベーションアワーの獲得を目指しています。このカレッジは3学期目ですが、今までの中で一番忙しく、充実した学期になっています。なぜかというと、オブザベーションアワーを本格的に開始したからです。日本ではなじみのないオブザベーションアワーという言葉ですが、内容は学校に在籍しているアスレチックトレーナーと一緒に、学校のスポーツ現場を見学・実習するものです。
私はアメリカンフットボールチームに所属して、選手たちをサポートしています。実習内容としては、大きく分類して2つに分かれます。平日の練習サポートと、週末のゲームサポートです。平日は、学校のアスレチックトレーニングルーム(ATR)に行き、練習までにウォータータンク・ボトル、AED、治療台や治療キットなど必要なものを準備します。練習の約2時間前になると選手たちが、怪我の治療、治療部位のリハビリやテーピングなどの処置を受けるために、ATRに来室します。アメリカンフットボールはアメリカで最も人気で、チームの規模も一番大きく、多くの選手が所属しています。そのため、この時間には30?40人の選手が一気に来室し、大変混雑します。これが過ぎると、フットボールフィールドに移動し、練習のサポートを開始します。練習中は、基本的にウォーターボトルを持ち歩き、選手への水分補給の提供と、怪我をした選手への処置対応をしています。特にシーズン中、カリフォルニアは30℃を超える暑い日が多いので、脱水症状の予防の為に、選手たちに常に注意を配りながら、水分補給を促しています。
そして、毎週末、土曜日に試合があります。Home & Awayで行われるので、Away で行われる場合は、試合に必要な物を全てトラックに積み、AT(アスレティックトレーナー)と、一緒にオブザベーションを取っている仲間達と共に、Awayの学校に向かいます。選手たちが直ちに試合への準備が出来るように、彼らよりも早く到着していなければなりません。かつ、アメリカは広大なので、地区リーグといっても広範囲なので、移動時間もかなりかかります。そのため、正午付近に試合がある場合は、朝早く起床しなければなりません。朝が苦手な私にとって、これが何よりもキツかったです(涙)。試合中は、練習と同じように水分補給と、怪我した選手の処置対応がメインとなります。オブザベーションを始めるまで、フットボールを直接観た事がなかったのですが、本当に激しいスポーツで、毎試合必ず怪我をする選手が出ます。その為、ATを中心に我々は常に試合に集中し、何か起きたら迅速な対応が出来るよう準備しています。
これらが一週間の大体のスケジュールで、思っていたよりも体力作業が多いです。他の授業の合間に、予定を組んで参加しています。ただでさえ日本の大学に比べると各授業の宿題量が多く、テストが頻繁にあるのに、オブザベーションも伴うと、割と大変なスケジュールになります。ですが、学生のうちから多くの実践経験を積むことが可能なのは、アメリカの良い点だと感じます。日本の医療実習体制では、学生の間は制限される事が多いですが、こちらでは、有能な学生には機会を与えてくれます。学生が一生懸命練習し、怪我の処置など、適切に対応出来る事をATに証明できれば、それらの医療処置をする事を許可してくれます。ATRに行っても、ATの方から、『あれをしろ』『これをしろ』とレクチャーしてくれる風潮はありません。でも、自主的にテーピングやストレッチ、怪我の処置、物理療法の使い方などを練習し、わからない事があって聞きに行った時には、質問以上のことを教えてくれます。当初は私も、新しい環境や、まだまだ不十分な英語能力などの不安から、積極的にコンタクトを取りに行く事が出来ませんでしたが、自分から行動を起こさないと、ただATRにいて時間を過ごすだけになってしまうので、つたない英語を駆使しながらでも、積極的に質問しようと心掛けるようになりました。
このように、タフなスケジュールになるオブザベーションですが、有意義な時間になるかどうかは自分次第です。多くの実践機会をカレッジ生のうちに経験できることは、必ず次のステップや将来に活きてきます。私も含めて自己表現が不得意と言われている日本人ですが、まだまだ続く留学生活、ガツガツと挑戦する姿勢は変えずに過ごしていきたいと思います。
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