留学体験 - 上原 玲さん
なりたい自分
私が初めて留学に興味を持ったのは15歳の頃。理由はいたって単純。ある日見た映画に感動し、映画といえばアメリカだろう! と思ったことがきっかけです。それが実際4年経ってみて、本当に留学しているのだから、自分でも驚きです。
私は、現在Orange Coast Collegeという2年制のコミュニティーカレッジで最終学期を迎えています。この約2年間に私の中でもいろいろな変化がありました。留学する目的というのは人それぞれです。英語が学びたいから? やりたいことがあるから? 海外に憧れがあるから? 私の中で、「なぜ留学したのか?」ということはずっと考えてきた疑問でした。初めは「映画を作りたい! 」という思いでアメリカに来た私でしたが、「本当に映画製作をしたいのか?」「ただ単に映画を見るのが好きなだけじゃないのか?」というような疑問の波が打っては返しという状況が、ずっと続いていました。悩みがあるときというのは精神的にも落ち込むもので、ホームシックにもなりました。そんなときにホームシックを何とかしようと観た一本の日本のテレビドラマが、私の状況を変えました。こんなに観る人を楽しく、幸せにしてくれるものを作るのはきっと楽しいんだろうと思いました。「私のやりたいことはこれだ!」と感じることができたのです。
アメリカには、アメリカ人はもちろん、韓国人、台湾人、中国人、ベトナム人、メキシコ人、私の周りには日本では出会えないたくさんの人がいて、まさしく『人種のサラダボウル』です。もちろん、学生は学業優先。これは言うまでもありませんが、私は今こうして毎日身を持って感じていることを無駄にはしたくないと思いました。その多くは勉強しているだけでは学べないことばかりです。そして、アメリカは本当に実力主義の国です。自分で何かしないと、行動しないと、何も始まりません。だからこそ私も今から、今のうちからできることはしておきたいと思いました。自分が今日経験したことが、テレビ番組を作る上でのヒントになることがあるかもしれないのです。留学をしている今の私の一番の収穫は、「勉強で得た知識」よりも「自分の体で得た経験」なのです。
そういう風に考え始めたとき、私の頭の中はとてもはっきりしてきました。ずっと、「映画がやりたいんじゃないなら、じゃあどうして私は留学したんだろう?」と思ってきました。でも、「TV番組が作りたい」ということは、私がアメリカに行かなければ、ホームシックにならなければ、思えなかったことです。同時に、留学しなければ「本当に映画を作りたいのか?」という疑問にもぶつかることはありませんでした。私にとってアメリカ留学は、自分のやりたいこと、なりたい自分を探す時間です。時間がとても早く過ぎる日本に比べてアメリカは、自分を見つめることのできる最高の場所です。