HOME > 留学体験記 > 留学で培った力が確実に就職に役立った!

留学体験 - 酒井駿一さん

留学で培った力が確実に就職に役立った!

酒井駿一さん
カナダに高校留学後、早稲田大学に進学。大手自動車メーカーに就職内定

私は高校3年間をカナダで単身留学という形で過ごし、カナダの大学には進学せずに日本の大学に進学しました。帰国を決断した最大の理由として、高校3年間を海外で過ごした結果、海外の人に日本はもっと素晴らしい国であるということを、社会人として仕事を通して広めたいという思いが生まれたためです。そのためには日系企業で働くのがベストだと考え、そのために最後の学生生活を日本で過ごすことが最適であると当時の私は判断し、日本の大学を進路先に選択しました。恐らく海外の高校に単身留学して日本の大学に進学する人は多くないと思います。

高校時代の体験談にも書きましたが、食事や街、友人を比較すると私はカナダより東京の方が好きです。本音を言ってしまえば、自分が好きな環境で最後の学生生活を過ごしたいという思いも当然ありました。どこの国の大学に進学してもメリット・デメリットあると思いますが、高校の頃から将来のプランを何となく描いておくのは意外と重要です。ぼんやりとしているゴールでも、イメージすることで自然とゴールに向かっての逆算が出来てくるので、急に進路等を決断しなければならない場面でも最適な決断をすることができると思います。私はこの様な思いで日本の大学に進学することを決断しました。

受験も終わり、無事に日本の大学に入学することができました。しかし、日本の大学に入学した当初は日本の学校生活のリズムになかなか溶け込むことができず、予備校時代を一緒に過ごした別の大学に通う帰国生の友人と過ごす日々が続きました。日本に高校の友人が一人もいないという共通点から、入学当初は帰国生の仲間との絆が深くなった時期でもありました。この仲間との関係は今日まで続いており、非常に良い友好的な関係を築くことができています。海外にいる日本人同士にも同じことが言えますが、海外に行くことで築いた日本人との関係は非常に強い絆で結ばれていると感じています。これは留学したからこそ出来る日本人との繋がりであり、留学の一つの良い所であると確信しています。

現在、留学するかどうしようかと悩んでいる人の中には、海外に行くことで地元の友人と疎遠になってしまったり、両親と離れて暮らすことに不安を感じている人も大勢いると思います。しかし、現在ではFacebook等、SNSやスマートホンの急速な普及もあり、世界中に住んでいる人とも関係を保つことが容易になってきています。実際、私自身もSNSを利用しており、海外に住んでいる高校時代の友人とも頻繁に連絡を取り合っています。このような技術革新のおかげで世界との距離は日々近くなっています。

しかし、自分自身が世界に出て行かなければこの様な関係を築くことはできません。私は留学をきっかけに海外で築くことができた様々な人々との「人間関係」こそが、留学で得た大きな財産だと考えています。学生時代にこのような経験を積むことが出来た私は非常に幸運であり、恵まれていると日々感じています。両親に感謝です。

話は変わりますが、恥ずかしながら私は今日までの大学生活で留学経験を活かせた場面は無かったように思います。強いて言えば、私は国際交流を目的としたフットサルサークルに所属していたので、日本語を上手く話すことが出来ない留学生に対して、通訳などの手助けをする程度でした。しかし、留学していたからこそ出来ることが可能だった出来事があったかと聞かれれば答えは「NO」になると思います。日本人には日本人同士の特殊な接し方があります。例えば空気を読むこと等です。これは海外では全く評価されることはありません。今になって考えてみれば、このようなギャップから大学入学当初は大学生活に馴染めなかったのだと思います。しかし、生活に慣れるとともにサークル活動やアルバイト等が充実し、夏休み前には大学生活を楽しむことができていました。

楽しい時間というものは早く過ぎてしまいます。授業期間はサークル活動に没頭し、長期休暇は毎回国内外問わず旅行に行く生活を送っていました。そして、なんとか3年生に進学することができた私は2012年の12月から2013年4月まで就職活動を行っていました。就職活動では留学していた経験を大きく活かすことが出来たと実感しております。一般的に留学して得たものとして最初に思い浮かぶのは「語学力」だと思います。しかし、私の経験上、語学力は突出した武器にはならなかったと思います。


留学すると実感することですが、語学は行ってしまえば何とかなります。実際に駐在員がいるような企業では、語学力程度は行けば大丈夫と評価されます。日本語を話すことができない環境作りを意識するだけで、語学力は飛躍的に伸ばすことができます。私は日本人が一人もいない高校に進学し、実際に他の留学生より早く留学生専用の授業(ESL)を卒業し、カナダ人と同じ教室で早い段階から学ぶことができました。このように自分が過ごす環境を少し意識するだけで、語学力や積極性は自然と身につきます。

では、就職活動においてどのような留学経験が活きたかというと、「知らない人と話すこと」だと私は思います。日本の学校に通っていると、基本的にクラスメイトや部活動の仲間と過ごす時間が多いと思います。つまり、比較的に狭い範囲での人付き合いになってしまいがちです。しかし、カナダの高校では地域でのボランティア等の様々な活動を強いられます。その中で他の高校の生徒や、活動している地域住民等と関わるため、人付き合いの範囲が非常に広くなります。この活動では年齢や国籍、職業等の違う人と多く関わります。お互いの自己紹介から始まり、接点の無かった人との会話をしなければなりません。これは就職活動で避けて通ることができない、グループワークや面接で確実に活かされました。相手の年齢や職業に関係無く、初対面の人とスムーズに会話をすることは難しいと思います。ましてや就職活動中は面接試験という緊張する場面で、会社の中堅社員や役員等、今まで話す機会の無かった人と会話をしなければなりません。

私は留学中の活動で、それまで話す機会が無かった層の人と会話をする機会が多くありました。この様な機会を数多く経験できたということは就職活動で非常に有利に働いたと思います。実際、就職活動の面接試験においては一回も緊張することなく、毎回自分自身を出し切ることができました。


他の方と比べると実感するのは遅かったかもしれませんが、就職活動を終えた今、留学して良かったと日々実感しています。私の場合、高校でカナダに留学していなければ、現在通っている大学やご縁のあった会社への入社の実現は難しかったと思います。留学経験が私の人生の大きな転機になったのは事実です。そして結果として、留学をきっかけに良い方向に向くことができたと思っています。

私は2014年度から社会人としての新しい生活が始まりますが、留学で得た経験や知識は必ず今後も活きてくると信じています。留学というスタイルの学びでは、実際に行くことで、想像していた以上の多くの知識や経験を得ることができます。留学して語学力しか得られないということは無いと思います。人によって得るものは様々だと思いますが、遊びやくだらない活動一つとっても自分を高めることが可能なのが留学だと思います。何気ない活動が有意義な学生生活や就職活動に繋がることが多々あると思うので、身近にチャンスがあるのであればぜひ留学をオススメします。(2013年6月)