留学体験 - 中村千代さん
インターンシップによって、 世界で最も進んだ障害者医療システムを体得!
渡米前、私は四年間新生児集中治療室で看護婦として働いていました。新生児集中治療室を退院していく子ども達は必ずしも元気に、問題なく退院されて行く訳ではありません。退院後も難病と戦わなければならかったり、重度のハンディーキャップを持ったり、そして中には退院の目処がつかず数年退院出来ない子どももいます。
仕事にも慣れてきた4年目、私は、『看護婦はどのようにこのような子ども達を退院まで援助していけばよいのか』、また『退院後どのように成長していくのか』を疑問に思い始めました。そこで重度の身体障害者の療育園への転職を考えました。退職ついでに長いバケーションをとって、日本よりも福祉が進んでいる外国で勉強してみようと思ったのです。
福祉といえばヨーロッパですが、言葉の問題もあり、断念。アメリカ東海岸に病院研修のお世話をしていただける方を見つけ、アメリカでもトップクラスの病院が多く存在するアメリカ東海岸に決めました。
渡米後、4ヶ月間語学学校へ通い、病院内での研修に控えました。私が渡米したのは2001年9月7日。その直後9月11日、テロが起こり、このような情勢の中、東海岸の病院は厳重体制に入り部外者の病院への立ち入り禁止が相次ぎ、勿論私も院内での研修をする事が出来なくなりました。
しかし病院研修をしない事には渡米の目的が果たせません。そこでとりあえず友人の紹介で近くのコミュニティーカレッジに通いながらインターネットなどを使い必死に研修受け入れ先を探しました。(この間運良く某病院の小児科でボランティアをする事が出来ました。)そこでIGEさんに出会いお話を聞いていただきUCPという素晴らしい施設を紹介して頂いたのです。1度カルフォルニアへ行き見学をさせて頂き、UCPの素晴らしさに圧倒されました。そして東海岸から西海岸への引越しを決意しました。
施設内は緑も豊かで、入居者の環境と安全性は申し分ありません。本当にすばらしい施設です。
UCPは重度脳性麻痺の方の入居施設です。現在ナーシングデパートメントにインターンシップとして席を置かせて頂いています。入居者を尊重した日々のケア、美しい緑に囲まれ、配慮の行き届いた施設には目を見張る物があります。
看護部、直接介助者、スピーチセラピスト、フィジカルセラピスト、QMRP(入居者の生活をより良い物にするため計画を立てる人)、栄養部、経理、など他にももっと細かく部署が分かれており入居者の生活を守っています。入居者の安全性や生活の質を考え、スタッフの数の多さにも恵まれています。UCPは病院ではなく入居者の家にスタッフが入って働いているということをかなり意識した所です。
日米の文化、社会背景、保険制度、教育、雇用条件などの違いからUCPで行われている素晴らしい全ての事が日本でも同じように機能するかというと、疑問がありますが、この様な素晴らしい施設で毎日多くの学びを得、充実した日々を送りながら渡米前に抱いていた疑問が少しずつ解決されています。
UCPのスタッフの方によく「アメリカの看護婦国家試験を受けて働く予定は無いの?」と聞かれますが、私は、渡米して解かった日本の看護のよさ、アメリカの看護のよさを生かし、日本で看護婦として再出発したいと考えています。この経験を通し可能な限り看護婦を一生続けて生きたいと強く思うようになりました。
IGEさんに出会わなければこのような素晴らしい体験は出来なかった事でしょう。現地での詳しい情報、きめ細かいサポートには本当に感謝しています。
今留学を考えている皆さんへ:自分の目標、目的をしっかりと持って留学に望めばそれなりの実りは必ずあると思います。何か不都合な事や失敗があっても人のせいにしない事です。留学でどれだけの実りを得るかは自分しだいだと思います。
それから忘れてはならないのは理解と協力をしてくれている家族や友人への感謝だと思います。