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留学体験 - 森山慶一 (31歳)さん

森山慶一

2023年 日本から単身車いす留学の挑戦

森山慶一 (31歳)さん
アメリカ車いす留学 滞在年月: 2023年6月
脳性麻痺があり電動車いすに乗って生活をしています。 身障者手帳は1級です。 ヘルパーを利用して一人暮らしをしています。 今回の留学で一つだけ譲れないものがある、それは ”一人でアメリカへ行く”。

 私は昔から一人でアメリカに行くことが夢だった。 留学エージェントである川口さんの尽力のおかげで、その夢が叶った。 あんなに夢に描いてた事を今体験談として書くことが不思議なくらいである。

 日本から出発する時が一番苦労した。大雨で名古屋~東京間の新幹線が動かず、予定日に は日本を出発できなかった。暗雲が心の中で立ち込める中、エージェントの川口さんにラインで 現状を伝えた。すると柔軟に対応をして頂けた。そしてラインの最後で「きっと大丈夫です」と言っ てくれた。そのおかげで一気に暗雲が晴れた。

森山慶一 ロサンゼルス空港に到着

 翌日には飛行機に乗れて、無事にロサンゼルス空港に着いた。案内 が全て英語表記で、周囲には日本人がいない。そこでアメリカに来た事 を実感した。 空港では何らかのトラブルで数時間待たされた後、ようやく入国審査 ゲートを通過し、到着ロビーに出られた。すると川口さん夫妻とIGEのス タッフさんが出迎えてくれた。一気に緊張から解放された。

 そこから最高の留学生活がスタートした。重度の障がいのある私を受 け入れてもらえるホームステイ先が見つからず、一か月間、エージェントである川口さん夫妻の 家でお世話になった。並大抵ではない覚悟で私を受け入れてくれたに違いない。私が留守番していてどうしてもトイレに行きたくなった時に、 仕事中にも関わらず帰って来てくれたり、介護経験があまりない中でほ ぼ毎日お風呂に入れてくれたりと、衣食住の事から語学学校の事まで 川口さん夫妻が全力でサポートしてくれたおかげで、アメリカ生活を存 分に堪能出来た。

 語学学校も凄く良いところだった。元々集団クラスで授業を受ける予定だったが実際に行ってみ ると学校側の想定より私の障がいが重くて、実際にクラスの中で他の学生と平等に教えることが 難しいと言われた。川口さんが語学学校と交渉してくださり、基本的に家からオンラインで受け、 週二回対面でプライベートレッスンを特別にしてもらうことになった。正直クラスメイトと友達になり たいと思っていたので、始めは少し残念だった。しかし、プライベートレッスンの先生は真の優しさ に溢れる方で、ただでさえ言語障害で言葉が分かりにくい上に、つたない私の英語を何とか理解 しようとしてくれた。おかげで日本人以外でもしっかり私の話を聞いてくれる人の存在を知って、 自信を持って英語を話す事が出来るようになった。

森山慶一

 最後の二回のレッスンには、先生の娘さんたちが来てくれて、会話やゲームを一緒に楽しんだ。 プライベートレッスンだから出来たことだ。娘さんたちに逢わせようと思ってくれた先生と、それを 良しとしてくれた学校のディレクターさんの心意気にとても感動した。 アメリカでは感謝の気持ちをお金で表すのが当たり前だと聞いて、最後のレッスンの終わりに先 生に花とチップ、そして英語の手紙を送った。すると、なんと先生と娘さんたちからも手紙とイニ シャル入りのキャップを貰った。もし、集団クラスで授業を受けていたなら、ここまで素敵な展開に なっていなかっただろう。

森山慶一 アメリカ車椅子留学

 語学学校以外でも沢山の心温まる出会いがあった。私は日本で子どもの教育に関わる仕事を しているので、アメリカの教育事情を知る事も今回の留学の一つの目的だった。偶然にもエー ジェントかつ、ホストファミリーの川口さん夫妻も子どもの教育に関わる仕事もされていたため、お 二人が先生をされている現地の日本の子どもが通う日本語補習校に訪問させてもらえた。見学 にとどまらず先生方のご厚意により、子どもたちとの交流会と科学実験をする機会をいただく事 ができた。思ってもみないことに、帰り際に子どもたちから気持ちのこもった手紙までもらえた。 また日本語補習校の校長先生にも大変お世話になった。校長先生の奥さんも車いすだというこ ともあり、アメリカにいる間いつも気に掛けてくださっていた。車いすが壊れた時も忙しいにも関わ らず自分の仕事をそっちのけで修理していただいた。

森山慶一 エンジェルススタジアム

 今回初めて一か月弱、外国で過ごした。色んな偶然 が積み重なって、おそらく一般の留学生ができないで あろう経験が沢山できた。

アメリカで吸収したことを仕事や人生に活かしていこ うと思っている。 また、英語の勉強を続けて、いつか再びアメリカへ行 き、現地の人と更に深いコミュニケーションを取ること が今の夢だ。