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留学体験 - K.Sさん

アメリカの介護職に関する研究調査を振り返って

K.Sさん
アメリカの介護職に関する研究調査を振り返って 大学研究員

本調査の目的は、アメリカの介護職に関する資格制度および教育カリキュラム、養成校教員・研修指導者・職業従事者の介護職教育に関する捉え方といった質的な指標から、アメリカにおける介護職教育の特徴を明らかにすることであった。

2011年、1週間弱という短い期間で、できるだけ多くの施設や養成校をめぐり、多くの職員さんにお話をお聞きしたいという無理なお願いをしてし まったが、藤巻さんをはじめとするIGEの職員の方々がご尽力くださり、結果的に3つの養成校、5つの高齢者施設に伺うことができ、計15名の方にインタ ビューをおこなうことができた。

高齢者施設では、介護を担当するCare giverやCNA、ならびに彼らを統括する看護師(RN)、施設を経営するマネージャー、アクティビティを担当する職員、各種研修を計画する職員などに 話を伺うことができた。その結果、アメリカでは、ケアを行うスタッフが看護師を頂点とするヒエラルキーとなっている点、経営者がビジネスの視点を持ってい る点、自己負担が大きいため家族と利用者の関係が重要になる点など、日本との制度・文化的相違が、介護職の現状に大きな影響をもたらしていることがわかっ た。また、CNAの養成校の実態もさまざまであり、通学課程の他にオンラインや施設内教育でも取得可能であったり、英語を母国語としない者がキャリアアッ プの手段として受講したり、看護師(RN)への登竜門として受講する者がいたりと、日本の養成制度とは異なる実態も浮かびあがってきた。本調査で得たもの をベースにこれからも研究に取り組んでいきたいと考えている。

IGEは、施設や養成校へのアポイントから、各施設への送迎、職員さんへの通訳、アメリカ流の謝礼の作法など、あらゆる面で私の調査をサポートして くださった。また、滞在中に、日本の福祉施設経営者に対して、アメリカの福祉施設に関する専門的な知識を提供なさっている森永先生にお話を伺うことがで き、調査中に生じた疑問を解決するとともに、アメリカの介護職についての討論を行うことができたことは、大変有意義な時間であった。また、調査の途中に は、アポイントメントをとっていたにも関わらず、先方の都合で調査ができなかったり、日程が急に変更されたりすることもあった。その時、IGEは、すぐに 代替の施設を見つけてくださった。また、空いてしまった時間には、私の希望を聞いてくださり、カリフォルニア州にある大学の書籍部や大型の本屋さんへ買い 物にいくことができた。このように、短い調査期間を有意義に過ごせたのは、IGEのおかげであると考えている。ここに感謝の意を表したい。