HOME > IGE スタッフ・ブログ 一覧 > アメリカ留学の学生生活 ― アパート暮らし その2 – Vol.010

2015年8月17日

アメリカ留学の学生生活 ― アパート暮らし その2 – Vol.010

前回は僕がアメリカ留学生活を開始して、友人と3人でルームメイトとしてアメリカでアパート暮らしを始めるに至るまでを書きました。
(前回のブログ記事はこちら)

今回はアメリカ留学をして、いよいよ初めての一人暮らしについて書こうと思います。
特に、その後、僕が2000年に帰国した際に気がついた、日米の賃貸事情の違いについてフォーカスしてみます。

Westwood

アメリカのアパート暮らしは初期費用がお得!?

僕の最初の一人暮らしの地は、僕の母校であるUCLAがあるWestwoodで始まります。Westwoodの賃貸相場はLA近隣に比べて高いのですが、何しろUCLAのキャンパスへ毎日歩いて通えるということが魅力でした。当時はまだ現役で働いていた日本の父親に相談して「勉強に集中する環境を得たい。高いがお願いします!」と、父からの了承を得ました。

最初のアパート暮らしの時はそこまで気にしていなかったのですが、今回は一人暮らし、それも賃貸料が高めの地域ということで、この条件の中でもできるだけリーズナブルな所を探す努力をしました。当時はまだそれほどインターネットが普及している時代ではなかったので、地域の新聞に掲載してある「Apt for Rent(アパート貸します)」というコーナーで物件を探し始めます。探していて直ぐに気づいたのが、「First Month Free!」の文字、つまり「最初の賃料は無料!」という物件が結構あるということ。僕は目ぼしい所5件程に連絡をして、すぐに物件を見に回り、その中の一番気に入ったワンルーム物件(バルコニーからUCLAの象徴であるRoyce Hallが見える!特に夜はライトアップされて幻想的な美しさを毎晩眺めることができます)を契約することができました。アメリカの賃貸で珍しくない「初月無料」ですが、日本ではなかなかお目にかかることは無いのではないでしょうか。

日本独特の賃貸契約「悪しき慣習」

上に書いた「初月無料」賃貸だけでも当時の僕としては十分得をした気分でした。「大家さんも商売だよな」と納得していた事を思い出します。その頃より10年以上経って、日本に帰国して自分の部屋を借りるときに気づいたことがあります。それは「礼金」という悪しき慣習についてです。日本でも最近は「礼金0円」という物件も多く見かけるようになりましたが、アメリカでは「礼金」という概念すら存在しません。貸し手=アパートのオーナーはお客様である僕たち借り手を優先して考えてくれるからだと思います。

帰国をした僕が「この場所を日本の拠点としよう」と決め、世田谷区のある地域の不動産屋さんに早速相談に行きました。そこで初めて「礼金」というモノを見ます。敷金に関してはアメリカのアパートを借りるときにも「Deposit」として全く同じ用途と意味の金額を最初に支払わなくてはなりませんが、「礼金=無理やり英語にするとGratitude fee?」なるものは聞いたことがなかったで、素朴な疑問として不動産屋さんに「これは一体どういうお金ですか?」と尋ねたのです。不動産屋さんから建前の説明(後日、自分で調べてそれが建前だとわかりました)は「大家さんにお礼として支払う、返還できないお金」だとのこと。

僕の率直なリアクションは「どうしてお客であるこちらが、サービス提供者(大家さん)にお礼をしなくてはならないのか?」というものでした。僕は当時まだ若かったですし(といっても既に30歳を超えたいい大人でしたが、、、)、今と違って思ったこと何でも口にしてしまうタイプだったために、その疑問を直接、その不動産屋さんにぶつけました。おまけに「納得できない。こちらが逆に借りたお礼を頂きたいくらいだ。」というようなことも添えて(笑)。不動産屋さんがかなり困惑した様子だったのをはっきりと覚えています。

結局、部屋は「礼金」以外は全て気に入っていたので、交渉=礼金を無にしろと交渉するも(そもそも今までそんな人はいなかった筈、、、)どうにもならず、その部屋の礼金(確か賃料の一カ月分)を払って住むことにしたのです。

後日不動産関係の方にこっそり聞いたことなのですが、この「礼金」という日本独特の慣習。実は多くの場合、大家さんが不動産屋さんに支払う「紹介料」を兼ねているそうです。それならば最初から「紹介料」とすれば良いのですが、不動産屋さんは既に「仲介手数料」なるものをお客さんから貰っています。その上で、大家さんと不動産とのいわば「密約」のような形で、僕らお客さんからさらに、本来なら不必要なお金を徴収しようという制度がこの「礼金」というものです。こういう訳で「悪しき慣習」と書いたのです。

アメリカの賃貸は直接交渉

話をアメリカに戻すと、アメリカの賃貸マーケットには、そもそもあまり不動産会社が介入してきません。冒頭にご紹介した、僕の最初の一人暮らしの時も、新聞に載っていた広告は全て大家さんが直接出していたものでした。なので、連絡をすると、大家さんと直接話をすることになります。僕の場合も実は、最初の月の賃料が無料(もともと広告に掲載)だっただけではなく、前のアパートを1日でも早く出て引っ越しをしてしまいたかったので、契約日の月の始めより1週間程前に入居する許可を、大家さんと直接交渉して頂きました。日本だと大抵は日割り計算で賃料を徴収されてしまうことになると思います。

こうして僕は生まれて初めてのアパート一人暮らしを、アメリカの大学時代にスタートしました。その後はアメリカで就職した後も一人で暮らすことに慣れてしまったので、何度か引っ越しはしましたが、ずっとアパートで一人暮らしでした。その度に思ったのが、日本で言われるような「引っ越し貧乏」のようなことはアメリカでは起こらないということです。これまで書いた通り、初期費用がそもそも安いうえ、さらに「お得」な「特典=ひと月家賃無料」といったことまで用意されているので、一人暮らしを始めるための金銭的ハードルが日本と比べてとても低いと言えます。

アメリカ留学には必ずついてまわる「どこに、どうやって住むのか?」という問題。IGEでは最初の数か月は一番安心かつ便利なアメリカ人家庭でのホームステイをお薦めしていますが、僕が経験したようにいずれはアメリカでアパート一人暮らしを検討することも、自分だけの時間とスペースを得るという意味でとってもお薦めです。

IGEスタッフ Hiroshi